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【選挙論】未来志向の政治にするために、一票に重みを加えてはどうかという考察【実質的な一票の平等】

現状の世代別投票率

以下は、2014年12月14日に行われた、第47回衆議院議員総選挙の投票率を求めた総務省のサンプル結果である。

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これを見ると、若い世代は選挙に参加しておらず、高齢世代ほど選挙に参加していることが分かる。
これをもう少し意味を持たせてまとめてみると次の表になる。

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このようにまとめてみてまず感じたのは、「今の政治が、決して国民の声を反映したものではない」ということだ。

自分が政治家だったら、どこに呼びかけるのが一番得票できると思うだろうか。
間違いなく、「55~64歳の老後を考える世代」と「65歳以上の年金受給世代」へ呼びかけることが一番効率よく票をあつめることができそうなのは、想像に難しくない。

この中で、「年金カット」「福祉カット」を叫び、「若い世代へ」と言っても、政治家になるための票が集まらない。
「若い世代へ」と叫ぶ候補者はいるが、高齢世代を敵に回すようなことまで叫ぶ候補者は存在しない。

しかし、今の日本の現状、そして今の状態で迎える日本の将来では、皆年金や福祉を維持したまま、若い世代への税金投資を充実することは到底無理なのだ。

税金投資の優先順位は、高齢者より若者であるべきなのに。

若い人(働く世代)が増えるから税収が増え、従って福祉へ投資できる。
今の出生率で行けば人口は減り続けることは明らかである(すなわち税収源が減っていく)のに、なぜ福祉の充実を叫ぶのか。
真に福祉を充実したいのであれば、まず労働人口を如何に増加させるかを議論すべきである。(増税や定年を延長することは、目先の解決にしかなっていない)

それなのになぜ高齢世代へ、つまり年金や福祉へ税金がどんどん投下されていくのか。
それは、政治家が票を集めるためである。

誰の一票であっても、一票は一票。
一票に差が無いのであれば、年金や福祉政策がダイレクトに生活に影響する世代、そして選挙に熱心である世代、つまり高齢者世代から票を集めようとするのは、政治家にとって当然の動機だ。
いくら日本を良くしようと思っても、政治家にならなければそのスタートにも立てない。だから票を集める。高齢者の方が票を集めやすい。高齢者向けの政策を充実せざるを得ない。年金や福祉を削れない。この悪循環である。

年金や福祉が充実するのは良いことだと思う。
何も、年金や福祉を削れというのではない。
年金や福祉を充実させるために、「今」は一旦削って、労働世代や子育て世代へ集中的に投資すべきだと思うのだ。少なくとも、預貯金が数千万もある高齢者に年金を支給する必要はない。ただちに年金を廃止して生活保護に切り替えるべき。そうすれば預貯金が一定額以下になれば生活保護を申請できる。「皆年金」という考え方自体が今の時代に全く符合しないのは、誰もが気付いているはずだ。せっかくマイナンバーがあるのだから、国民の財産を全部照会すれば一発で解決できる環境である。
そうすることで、税収は増えるので、年金や福祉など生活のセーフティネットへ投資することができる。

※池上彰さんのが書いたこの本は、選挙の本質がとても平易に表現されており、選挙について今さら聞けないようなことを勉強するには最適。

池上彰の選挙と政治がゼロからわかる本 (河出文庫)

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18歳の一票と80歳の一票を同数でカウントすることは、実質的に不平等ではないか。

仮に日本の平均寿命を85歳で見た場合、これから67年生きていく18歳の若者と、あと5年生きる80歳の高齢者では、若者の方が政策の影響を大きく受けるのは明らかだ。
どの世代でも同じ一票を持たせるということが、本質的な意味で平等であるのだろうか。

国の将来への道となる政策を考える上で、主たる対象は若者層、つまり日本の未来でなければならない。そうでなければ近視眼的な政策(増税や皆年金を維持しつつ支給額を微減する等)しか生まれてこない。つまり、とりあえず向こう数年船を漕ぐだけの政策だ。
言わずもがな、これからの日本は高齢者は増え、若者は減り、超高齢者社会へ突入していく。年金と福祉の財源となりうる税収源が減っていくにも関わらず、税金の投入先は増えていく一方だ。
日本は当の昔に、危険水準を超えている。このことに本気で着手する政治家が生まれない限り、日本はギリシャと同じように必ず破綻する。
しかし、高齢者の福祉や年金を減らすと票が集まらないので、増税することで一時を乗り切るしかなのが現状である。

こんな場当たり的な政策が未来永劫続くわけはないし、そのことは政治家も官僚も承知している。しかし、今の政治を選んでいるマジョリティが高齢者であるため、高齢者寄りの政策になっても仕方ないし、当然のことだ。

だったら若者が選挙へ行けばいい、というのは大人の暴論であると思う。
今では18歳から選挙権が与えられているが、目の前の勉強や仕事、生活で精一杯の彼らが選挙にどれだけ本気で向き合えるだろう。
それに、高齢者向けの政策しか唱えない政治に、期待を抱き、興味を持てというのは大人の論理だと思う。
若い世代が選挙に行かないのは、今の選挙制度の問題、つまりは先人や大人たちの責任なのだと思う。

日本の政策を、未来志向にするために。

政治家の興味を若者に向けるため、一票に変数を加えてはどうだろうか。
例えば、18歳は1票×2.0、70歳は一票×0.5にすると、政治家は18歳から票を集めることだけを考えるはずだ。

  • 18~39歳は一票×2.0
  • 40~54歳は一票×1.5
  • 55~64歳は一票×1.0
  • 65歳以降は一票×0.5

国民の声を反映するのが選挙であり政治であるのであれば、将来を考えた上で反映させるべき国民の声となる世代に重みをつけるのは、至極当然のことのように思える。

変数のレンジは感覚で言っているので、適正な変数には分析が必要であるのは付言しておくが、いずれにしてもこのような考えで変数を加えることで一気に政策が未来志向に変わるはずだ。

そして政策は、教育に向けられ、育児に充てられる。
幼児教育から大学教育までが無償で提供される。子育て世代には、育児手当が実額相当支給され、出産にかかる医療費は無料となり、出産一時金は100万円単位で支給される。
子供が増え、労働力が増えていくので、課税を減らしても国の税収も増える。増えた税収で、また皆年金と充実した福祉を実現させる。

国民が抱く日本の将来像が明るいものとなるからこそ、政治は意味があるのだ。
今の国民は、何となく閉塞感を持って生活しているように見える。

本質的な意味で、一票に一票の価値を持たせるよう選挙制度を改革すれば、日本が抱える諸問題を根本から全て一気に解決できるのではないかと思う。


冒頭で示した投票率サンプルに、変数を加えてみると以下の表になる。(20~24世代も2.0としてみた)
こうすると、候補者は20~54歳の票を取りにいくので、唱える政策も間違いなく現役世代へ向けた政策になってくるはずである。かといって、老後世代を無視した政策にしたところで、将来老後を迎える現役世代の有権者から支持される訳はないので、年金や福祉問題に焦点が当たらないことはない。
これで、一気に日本が未来志向になる気がする。

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