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趣味も仕事も、本気で楽しむオトコのブログ

部下を本気で育てたいなら、あなた自身が変わる必要がある

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「部下が思った通りに育たない」
「あの人は優秀なプレイヤーだったのに、部下を育てることにおいては二流以下だ」

昔からアウトプットの品質に優れ、役員調整や社内調整等はお茶の子さいさい、取引先からも経営からも高い評価を受けるようなエリート社員。こうした社員は若くして部下を持つようになり、「個」としてではなく「チーム」としてのアウトプットを出す責任を負うようになる。
しかし、一見はチームとして成果を出しているように見えるエリートでも、よくよく見てみるとエリート社員の後継者となるような、飛びぬけて優秀な部下が全然出てこない。
こういった場面は決して珍しいことではなく、むしろ多くの企業が抱える課題だろう。

このままでは、いつまで経っても世代交代が進まない。あなた自身は社員としてエリート評価され気持ち良いかもしれないが、長い目で見れば会社はあなた個人のアウトプットを期待している訳ではない。
会社があなたに期待していることは、あなたのようなエリートのコピーをたくさん作り上げ、会社の力の総和を最大化することであるのだ。
上司になった途端、個人の成果ではなく「教育し、後継者を育てる」ことが最大の使命となるのだ。

もしあなたが「なかなか部下が育たない」という問題を抱えているのなら、その原因は実はあなた自身にあることが多い。

今日は、部下の成長の足枷となっている3つの大きなポイントについて紹介していくので、明日からの部下の育成のヒントにして頂きたい。

部下が成長するために必要なことを「言葉」で具体的に伝えられるか

スポーツが趣味の人ならよく耳にすると思うが、「名選手が名監督とは限らない」とは、良く言われることであるし、実際にそうだ。
「自ら何かを身に付けて成長すること」と「人に何かを教えて“成長させる”こと」は、全くもって性質が異なる。

名選手は、周りを観察したり、実際にプレーする等の実体験から学ぶことを得意とする。教科書に書いてあることも、さも実体験かのようにイメージしてどんどん吸収していく。
体験から学ぶということは、名選手本人にとって明確な言葉で説明するのは難しく、「やっているうちに何となく身に付いた」という説明が精一杯であることが多い。僕たち一般人もスポーツの練習をしていると「今の感覚、忘れない内にもう一回練習しよう」ということがよく発生するが、この「何かをつかめそうな感覚」を理屈にするのは想像以上にとても難しい。
一方名監督は、この「感覚的」なことを明確に言葉で伝えることができる。「こういった練習をすると効率的に“何かを掴めそうな感覚”を得られるぞ」「その感覚は、こういう理屈によって成立しているから、理解しておけ」「今後、このペースで繰り返せば完全に身に付く」「その後、さらに進化するために、このメニューへ移ろう」等、名選手が成長の過程で感じた多くのことを「言葉」で明確に伝えることができるのだ。

悪い上司

「なんで、こんなことも出来ないの?」
「考えれば分かるでしょ」

自分が思いつくことは、当然のように部下も思いつくと思っている悪い例だ。あなたと同じように最初から分かっていれば、あなたと同じ行動を取るに決まっている。
部下はそれが分からないから、それが思いつかないから、進み方を間違えたのだ。
部下が悪いという前提に立ち、そして指摘も曖昧。これではいつまでも同じ間違いを繰り返す。
部下が出来ていないポイントを具体的にしっかり見つめてあげよう。

さらに悪いケースは、部下の方が正しい意見を言っているにも関わらず、「自分の考えと違う=部下が悪い」と決め付けることだ。
エリート社員として評価され続けてきた人ほど自分の考えに自信があるため、「自分がいつも正しい」と思う傾向にある。
いつでも客観的に「正しい意見、考え方」を採用し、部下の意見も正しい場合は採用されることを、身を持って感じさせよう。
毎日否定ばかりされては、考えることを止めてしまう。

良い上司

「あとは、良い感じに進めておいて」
こんな曖昧な指示を出してはいないだろうか。
長い間、一緒に仕事をしてきた仲間同士であれば、以心伝心で仕事を進めていくことができると思うが、あなたの部下はそうでない場合がほとんどだ。

「こういう場合は、まず営業担当と調整しよう。その後で、資料の作成をして半分程度完成した段階で僕に見せて欲しい。明日までに対応できますか」
ここまで言われれば、部下も言われたとおりに動くことができる。
こういった指示は毎回だす必要もなく、次第に部下は他の部室との調整のタイミングや、上司への報告のタイミング、仕事の進め方を学習していく。
少なくとも最初の段階では、部下が拠り所となる「基本的な進め方」を具体的に教えてあげよう。

海

部下が上司へ依存し過ぎていないか(部下へ最後まで任せていない)

上司が優秀すぎる場合、その部下たちの心理はとても大きく変化する。

今まで部下たちは「優秀な上司になってやろう」と思っていたものが、次第に「優秀な上司(あなた)の部下」でいることに価値を感じるようになってくる。

周りからも「○○さんが上司だと羨ましい」「すごくチャレンジングな仕事をやっていてかっこいい」「○○さんのチームは、すごい存在感」等という評価を受けることによって、どんどん「優秀な上司の部下」としての一体感やチーム意識を望むようになってくる。

部下が部下であることを望む最大の原因は、部下に仕事を最後まで任せていないことにある。
難しい交渉、役員向けの高度なプレゼン、他部署とのマネジメントレベルの調整等、あなた自身が出張っていないだろうか。
もちろん、あなたがこれらの仕事をこなしていくことで、チームの仕事はスムーズに、かつプレゼンスを発揮して進んでいく。しかし、いつまで経っても部下は、あなたと同じレベルの仕事を経験することはできない。(同席するのが関の山)

たまには高度な仕事を最後まで任せることも大切だ。失敗も部下のためだと最後まで見守り、失敗を乗り越えるところまで任せよう。以前、このブログのどこかで書いたが、部下がPAR5のロングホールの第一打でパターを持ってきても、決して口出しをしてはいけない。任せたのだから、最後までしっかり見守ろう。

あなたの仕事は、その失敗の責任を取ることだ。

あなたは、本当に(自分が退いてでも)部下の成長を願っているか

往々にして、部下の程よい成長は望むものの、部下が自分を超える程に凄まじく成長することを心から願っていない。

部下があなたを超えて成長した場合、あなたは潔く部下を上司として認め、あなた自身が部下になる覚悟はあるだろうか。
もしくは、組織を退き、自分のポストを部下に引き渡す覚悟はあるだろうか。

おそらくあなたは「自分の部下として優秀であること」を望んでいるはずだ。
そして、その部下が他の部室に異動になった場合、部下自信が褒められることよりも、部下を育てた「あなた自身」が褒められたいと思っているはずだ。

周りが、あなたの部下に対して「あなたの方が優秀なんだから、あなたがマネジメントする立場になれば、もっと会社は良くなるね」と言っていることを耳にした時に、100%嬉しいと思えるだろうか。

こういった上司自身のエゴや嫉妬、劣等感等を含んだ本心が、部下の成長を阻んでいるのだ。

無意識に部下の成長の機会を奪っているあなた自身の行動が、一番厄介な障害なのである。

部下の成長を心から願うこと、それは自分自身をあらゆるエゴから解き放つことなのかもしれない。