生きていることの確率、出会うことの軌跡
この広い宇宙の中に「生命が生きていける環境を持った星」が誕生する確率は、25mプールの中にバラバラに分解した目覚まし時計の部品を投げ入れて、グルグルと水をかき混ぜるだけで完璧に元通りに完成する確率を同じだと例えられる。
さらに、ようやく完成したその星で、実際に生命が誕生する確率は、1/10^40000(10の4万乗分の1)だと言われる。
もっと遡れば、そもそも宇宙が誕生すること自体、想像を絶する確率だ。
超新星が爆発した時のビッグバンの膨張速度がほんの少しでも遅かったり、または早かったりしただけで、この宇宙は誕生していなかったのだ。
太陽との距離も、水が存在することのできる程よい距離に位置し、地球の自転速度をほどよく抑制する位置に月がある。
そして、地球上の生命は99.9%以上の種類が既に絶滅した。
地球が誕生してから46億年という年月の中で、現代という時代を生き、日本という国で生活をする確率は言葉では言い表せないほど驚異的だ。
さらに、同じ確率で誕生した異性と出会い、生涯を共に歩んでいくということは本当に文字通り「運命」だと言わざるを得ない。
これは、毎回毎回宝くじを購入し、一等前後賞を死ぬまで当て続けることよりも、断然確率が低い。僕らが想像できるどんなことよりも、圧倒的に低い確率である。
それくらい奇跡的なことなのだ。
自分を嫌い、自信を無くす。
他人を羨み、妬み、忌み嫌い、攻撃する。
毎日に憂鬱になり、生きる気力を無くし、つまらない日常を送る。
一体、それが何どうしたというのだ。
一度死んだら、二度と人間として地球に生まれてくることはないだろう。
この確率の奇跡が二度も起こる訳がない。
奇跡的に存在する美味しい空気を吸って、奇跡的に存在する美味しい水を飲んで、奇跡的に隣にいる友人や家族と語り、笑い合う。
こんな奇跡ばかりの毎日を体験できれば、これ以上何も望むものはないだろう。
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: スティーヴン・W.ホーキング,Stephen W. Hawking,林一
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