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スマッシュヒットを連発するプロダクトマネージャーに共通する7つの思考法

iPhoneとMacで仕事


世の中には、売れるアイデアを次から次へと発想できる人がいる。
そういった人たちは、単に勘所が良いだけでなく、共通した考え方を持っている。(意識、無意識問わず)
そして、徹底的に考え抜いている。

今回は、僕が今まで見てきた売れるアイデアを発想できる人の考え方について、7つにまとめてみたので紹介していきたい。

1. ユーザ視点で考える

全ての商品(サービス、プロダクト含む)は、ユーザ視点で考える。
よく陥りがちなのは、既に持っている商品を起点に考え、どのように改良しようか検討をすることだ。そのように考えるとほぼ間違いなく、「競合はどのような商品を提供しているのか」「競合と比べて自分の商品に不足しているものは何か」を分析し、とてもつまらない商品が出来上がる。検討のプロセスにおいて、ユーザそっちのけだ。

売れる商品を設計する人は、売りたい対象となるユーザ像を明確にイメージする。ユーザの立場でものを考え、ユーザを満足させることを目的として商品を「再設計」する。
これは日本人がとても苦手な領域だ。日本人は、1から2を作るのはとても得意だ。トヨタ自動車に見る「カイゼン」がこれに当たるが、既にあるものをより良いものへと改良することである。
しかし、0から1を作ることができない。特に大きな会社であればあるほど、「競合は?」「ROIは」「損益予測を」等と、机上の論理ばかりを詰めるため当たり障りのない商品しか誕生しない。
突飛な発想は説明できないし、容易に説明できるものなら既に世の中にある。「説明不要で、凄いと感じる」という感覚を信じて実行する勇気も大切だ。

ちなみに、大前研一さんの「0から1の発想術」は思考の整理として役に立つ。
過去に当ブログで記事を書いているので、参考にしてもらいたい。
www.overwrite-save.com

2. シンプルイズベスト

ガラパゴス携帯電話を筆頭に、日本のメーカーが落ちぶれていった原因は、商品の多機能化と意味の無い(一般ユーザでは違いの分からない)スペック競争だ。
多機能化と高スペック化は、頭を使う必要のないとても簡単な手当てだ。しかも、「世界初」だとか「あれもこれも」というキャッチコピーを言いやすい。

iPhoneを見れば分かるが、ホームボタンは一つだけ、スペックだけなら二番手三番手の商品が世界を席巻した。Appleは、ユーザの体験だけを考え、無駄を削ぎ落とした分かり易い商品を世に送ったのだ。これにより、日本の数ある携帯電話メーカは携帯電話の製造から撤退した。
シャープの液晶テレビ「アクオス」も、同じだ。亀山モデルと自画自賛して売り出した「綺麗な液晶」であるが、液晶技術はすぐに他社に追いつかれた。それにも関わらず、亀山モデルの綺麗な液晶の開発を続けたが、すでに一般ユーザにとって液晶の違いは分からないレベルになっていたのだ。

多機能によって値段が高騰するだけでなく、ユーザにとっては操作が複雑になりUX(ユーザエクスペリエンス)は低下する。
高スペック化しても、価格だけが高くなり、その価格差以上の感動を得られない状態になる。
「その機能は、本当にユーザが望んでいるのか」ということを考え、ユーザの望む一番シンプルな形で商品を設計しよう。

3. データで綺麗に説明できる商品は売れない

C2Cの個人間商品売買プラットフォーム「メルカリ」をご存知だろうか。
いわゆるオークションアプリなのだが、「メルカリ」が世に出るまでは個人オークション市場は「ヤフオク」がほぼ独占状態であった。

「メルカリ」がなぜ短期間にオークション市場の勝者になったかというと、「出品ボタン」が常に表示されている、というシンプルな理由からだ。
今までのヤフオクでは、商品を出品するまでに何度も手順を踏む必要があった。メルカリではアプリを開くと常に「出品」ボタンが表示されており、出品ボタンを押すと1クリックでカメラが起動する。このシームレスかつシンプルな出品プロセスが若年層にウケた。

これを普通の会社で発案しようとすると、とても難しい。
オークション市場は成熟しており、既に「ヤフオク」という王者が1人勝ち状態。データを集めれば集めるほど、商品は埋もれてしまう。たかが出品ボタンの配置くらいで、「ヤフオク」から市場を奪うとは、なかなか説明できない。

今の時代は、テクノロジーの進化によって様々なアイデアが現実にリリースされている。
このような環境の中で、綺麗なデータ分析や予測を求めていては、あっという間に世間から遅れをとってしまう。
とにかくプロトタイプをつくり、実際のマーケットでテストしてユーザからフィードバックをもらうというスモールスタートのスピード感が重要だ。撤退するときのコストも最小限で済む。

もしあなたが、プロダクトマネージャーやプロダクトのローンチを決裁する立場にいるのであれば、データ分析に頼るよりもユーザ感覚を大切にしよう。

タイプライター

4. 説明書を使っている商品は売れない

ぱっと見て直感的に使えない商品は、売れない。これは、上述の「多機能化」でも同じ事が言える。
売れる商品は、使い方や用途がとても明確になっており、その目的を達成するために必要最低限の設計になっている。そのため、説明書は要らず、商品を触れば使い方が分かるものでなければならない。
まさにiPhoneが良い例だ。説明書は付属していないし、言葉を十分に話せない子どもが使っている姿を街でよく見かけるだろう。
商品が複雑であればあるほど、次の買い替えの機会に他の商品にスイッチする理由になる。

5. 色んな人の意見を聞かない

会社員であればあるほど、多くの人の意見を聞き、調整を重ねる。その結果、ありきたりな商品が誕生してしまう。
みんなが納得できる「間」の商品を作るためだ。そして、多機能化し、コンセプトを見失ってしまう。
商品の設計をする時はできる限り少人数で行い、商品のリリースを決定する時も合議制の会議体で決裁するようではいけない。
商品コンセプトや設計には「みんなの思い」は要らない。自分のセンスを信じよう。

6. あらゆる答えに回答できるか

この回答はデータ分析に基づくものを差してはいない。
もっと概念的な意味であるが、例えば「この商品はユーザの生活をこのように変える」「こういった体験を実現できる」という具体的なイメージを持っているか、ということだ。

仮にあなたがiPhoneのプロダクトマネージャーだったとする。世の中にiPhoneが登場する前、Apple社員から「電話もメールも今までの携帯電話でいいじゃないか」「音楽も聞けるし、写真も撮れる」という反対意見が続々と飛び交う。これに対して、全て明確に回答できるだろうか。
この回答はデータに基づく必要はない。ユーザの体験をいかに具体的に想像し、その体験を語ることが出来るかが重要だ。
これができなければ、その商品は売れない。

7. ユーザからのフィードバックを求め続ける

ユーザからのフィードバックは何よりも重要だ。商品リリース後も、継続してユーザからのフィードバックを求める必要がある。

大きな会社になればなるほど、商品をリリースして終わりということがある。大きな失敗さえしなければ、「商品をリリースした」という本質的に意味のないことが評価の対象になるためだ。
また、大きな会社であれば一つの苦情がまるでユーザ全体の声であるかのように解釈されることもある。最悪の場合、少数からのクレームが原因で商品の販売を停止するという決断をする会社もあるが、保守的になってしまうこともとてもリスクがある。
ユーザの声から、フィードバックの本質をきちんと掴み、商品の見直しを行うことが重要なポイントだ。