王道ブーツ「RED WING」を掘る【RED WINGブーツの歴史と全モデルまとめ】
RED WINGとは
1905年、創業者であるチャールズ・ベックマンが「RED WING SHOE COMPANY」を設立。
「本当にいい靴を売りたい」という信念を一貫して堅持し、創業以来アメリカのミネソタ州レッドウイングシティに本社を置き、MADE in U.S.Aにこだわり続けている。
RED WINGが発売している各モデル(後述)を見れば分かる通り、労働者に向けたワークブーツメーカーである。
RED WINGの魅力
RED WINGと言えばこのソールと言われるほど有名な「トラクショントレッドソール」は、1952年、アイリッシュセッターに初めて採用された。
クレープソールとも呼ばれるこのトラクショントレッドソールは、軽量であることに加えて足音が立ちにくいという特性を持ち、狩猟を目的としたハンティングブーツとして最適だった。
このトラクショントレッドソールは、現在ではRED WINGブーツの主流のソールである。
さらに、このアウトソールとインソールの間にコルクが詰められており、長年履き続けることによって自分の足の形に馴染んでくるのも、大きな魅力の一つだ。
RED WINGのブーツは、グッドイヤウェルト製法で作られており、何度でもソールの張替えが可能となっているので丁寧に手入れしていけば一生使う(育てる)ことができる。
RED WINGの各モデル
アイリッシュセッター
1952年に発売された「877」と呼ばれるモデルが、アイリッシュセッターシリーズの始まりである。
最初のモデル「877」は8インチであり、現在のアイリッシュセッターと比較すると長いブーツ丈の設計になっている。
この「877」は、経年劣化によって猟犬であるアイリッシュセッターの毛色に似てくることから、「アイリッシュセッター」と呼ばれるようになった。
「877」が発売されてから数年後に、「875」が発売された。この「875」は6インチのブーツ丈が採用され、現在のアイリッシュセッターまで引き継がれている。
色や年代の違いで複数のモデルが発売されているが、6インチのアイリッシュセッターを復刻した「9875」はかなりの人気モデルだ。
ベックマン
RED WINGを創業したチャールズ・ベックマンの名を付けたブーツ。
ベックマンの名を冠しているだけあり、その拘りは圧巻。全体から数%しか取れない最上級の革を使用し、このレザーは羽根のようにしなやかで、石のように丈夫であるということから「フェザーストーンレザー」と呼ばれる。長い年月をかけてエイジングされたフェザーストーンレザーは、見ているだけで幸せだ。
このモデルはトラクショントレッドソールではなく、ハーフラバーソール(半分レザー、半分ラバー)が採用されていることと、ブーツの形状も独特であることから、上品さも併せ持つ。
ポストマン
その名の通り、郵便屋さん向けに発売されたブーツ。
このモデルは、現在でも多少カジュアルが認められるビジネスの場で使用する人もおり、当時何マイルも歩いたポストマンを支えた耐久性は、今のビジネスマンにも愛用されている。
このモデルは、チャッカブーツタイプも発売されている。
エンジニア
RED WINGが創業する少し前の19世紀の後半から、アメリカでは急速に鉄道が発達する。
そのため、鉄道業に従事する労働者も急激に増えていくのだが、この鉄道業に従事する労働者に向けて発売されたのが「エンジニア」だ。
激しい労働環境で使用することを前提に開発されており、油や傷に強い。他のモデルとよりも厚くて硬いレザーを使用し、トゥにはスチールを入れる等、当時開発されたデザインは現在も引き継がれている。
僕の知人はバイクに乗る時に履いており、ライダーの間でも人気があるモデルだ。傷だらけのエンジニアブーツを見ると、当時のアメリカの鉄道労働者の光景が目に浮かぶようだ。
ラインマン
ラインマンの「ライン」は、電線を指している。
RED WINGが創業した頃、アメリカでは電気インフラの整備も加速していく。この頃、電線工として働く労働者向けに発売されたのが、この「ラインマン」だ。
電線工事をするため高所で作業をすることを考慮し、電線工の足をしっかりホールドするデザインとなっている。また、足の接地感の強いビブラムソールも採用され、多くの電線工が愛用したと言われる。